90年代、やっぱりダウンタウンは革命的だった?

今度は、松本人志の「笑い」という角度からではなく、
ダウンタウン自身の「存在」という角度から書いてみます・・。



90年代、ダウンタウンは、やっぱり革命的だったと思います。
では、どう「革命的」だったか?それを、大雑把にいうなれば、
彼らは、とことん、社会のタテマエをぶっ壊してきた、
という意味で革命的だったと思うのです。


80年代〜90年代のバブル期を、これまた大雑把に例えてしまうならば、
この時代は、非常に「かっこつけ」の時代だったと自分は思っています。

そんな「かっこつけ」の風潮が続いている時代において、
彼らは、そういった風潮をあざけ笑うがごとく
本音でもって、"タテマエ"をぶっ壊していったのです。



例えば、客にこびる漫才をやめ、相方にも本音でツッコム
その漫才のスタイル(つまらなかったら相方でも突き放すスタイル)は
非常に斬新でした。
それまでの漫才が、どちらかというと、前のめりになって
客と一緒に盛り上がるスタイルだったのに対し
彼らは、一歩ひいて、客と対等、もしくは、上からの位置から漫才をおこなったのです。
また、今では当たり前のように多くのタレントが言っている
「この部分、カットね!」とか「生放送だったら・・」とか
テレビの裏側を平気で暴露するような風潮も、彼らが作ったと思います。


さらに、コントでも
一般に"行儀正しい"と思われるような料理番組の設定で
性的なイメージのまったくないはずの料理の先生が、めちゃくちゃなことをてみたり、
ヒーローもののコントでは、ヒーローが必要以上に情けなかったり(そこがリアル!)
いじめていた河童が逆にいじめられて泣きそうな顔になったり、
簡単に言ってしまえば、「ブラック」で「シニカル」なんだけど、
とにかく、人間の裏側、本音、陰気な部分を彼らは、描いていったのです。
そこには、尼崎で育った彼らの
「現実ってのは、そんな爽やかなもんばっかじゃないんじゃい!
 もっとドロドロした、陰気な部分もあるんじゃい!」
というメッセージが含まれているかのようでした。


(もちろん、彼らは、そのことに自覚的ではなかっただろうけど。)




その他にも、いわゆる大御所芸人にもこびずに頭をたたいたり、
とにかく、彼らが本音で、"タテマエ"なしでやりたい放題やる様は、
「かっこつけ」をすることにそろそろ疲れてきた社会に、非常に痛快に写り、
その反動となる大きな時代の流れを作ったのだと思います。


ちなみに、もう1人、この時代を作った人を挙げるなら、
それは、久米宏だと自分は思っています。
彼もまた、ニュースという世界のタテマエをぶっ壊していった一人だと思います。



(つづく)